ムカデフォーエバーラヴ。

鹿です。

最寄り駅から歩いて帰宅していたところ、

突然景色が歪み始めたのです。

それはそれはもう野生のギラティナが出現するかのごとく歪んでいました。

急遽近くのコンビニで菓子を購入し、なんとか今生きています。

あーよかったたたたたたたた・・・

 

今日は、先日届いた「ムカデ人間 完全連結ブルーレイBOX」の感想を言いたいだけです。

⚠︎⚠︎以下ネタバレ注意⚠⚠

 

 

 

 

正直言うと、本編は何度か見ているので特典映像見たさで購入しました。

それにしてもファン歓喜の特典映像てんこもり+「2」のカラー版が入っていると言うのに10,000円未満というなんともお得な値段設定。もっと高くてもいいと思うぐらい、ぎっしりとした内容でした。

 

ムカデ人間 First Sequence

全てはここから始まった!!

1の精神的ホラーはたまらんですね。

オーディオコメンタリーにてトム監督が「全てのシーンは見せない。観客の想像でいくらでも怖くできるからね」と仰っていて、やはり天才だと思いましたね。

特に排泄シーンは、カツロー役の北村さんとリンジー役のアシュリーさんの名演技で、

これ・・・今ブツはどうなってるの!?

という、したくなくてもしてしまう想像をしてしまいます。俳優陣の演技力には感無量です。本当に素晴らしい。

 

そして、昨年お亡くなりになられた名優、ハイター博士役のディーターさん。

彼は今作が初のホラー映画主演だったそうですが、嘘だ〜ww と言いたくなるくらいホラースターですね。ハイター博士がハマりすぎてて、そっちの方がホラーです。

逃げるリンジーを麻酔銃を構えて追い詰めるシーンはゾクゾクします。

あと、彼はドイツ人なので、劇中にちょくちょくドイツ語が出るのがとても良い。

特に、リンジーが水を零した際に「目ェ見えてんのかこの雌牛が!!(ドイツ語)」と罵倒するところ最高です。ありがとうございます。

 

もちろん、ジェニー役のアシュリンさんも名女優です。彼女とリンジーが博士の地下室で目を覚ますシーン。「私たちに何をする気なのよ!?」と泣きながら叫ぶところ大好きです。麻酔を打たれる場面での「ママに会いたい・・・」の言い方が印象深いです。

ラストで彼女が死ぬシーンは監督も大絶賛していました。

 

そして先頭の北村さん!唯一の日本人で、唯一この作品に笑いを届けてくれる存在です。

「ごめんよぅ・・・」も最高なのですが、私はそれ以上に自殺前の台詞が良いですね。

「奇妙な世界やなぁこれ・・・」と涙を流しているのですが、もはや美しい。

そう。1作目は美しい。一言で言うならば美しい映画です。

 

ムカデ人間2 Full Sequence

シリーズ史上最狂の名作。私は好きです。

早々「1」のラストシーンから始まります。ん?間違えた?これ「2」だよね?

監督は「観客を惹きつけるためにこのシーンを入れたんだ。観客は生き残ったリンジーのその後が気になるだろう。前後の遺体に挟まれて死ぬのか?それとも警察が助けるのか?」と言ってました。

そしてスタッフロールに入った瞬間、映るのは壊れかけたパソコンと、黙々と「ムカデ人間」を見るローレンス・R・ハーヴィーさん演じるマーティン。

🎉🎉テッテレーー!!!🎉🎉

どうやら観客を騙すためだったようです。

前作はあくまで「映画」という扱いで登場。

医師ではなく、ただの駐車場の警備員であるマーティンは 僕も繋げたい・・・ そんな思いで次々に部品となる人間達をきちゃない倉庫に監禁していきます。

まー彼は1時間30分にわたり非人道的で残虐的行為を繰り返す訳ですが、それは「ムカデ人間を創りたい」という想い以前に、彼の悲惨な生い立ちも彼をこうさせた要因だろうとは思う。

 

~マーティンの悲惨すぎる人生~

1. 幼少期に父親から性的虐待を受ける。

2. 父親は上記により投獄。母はそれ以降マーティンに憎しみを抱く。心中するとか言い出す。

3. 喘息持ち+発達障害のマーティンにはかかりつけの医師がいるが、そいつはマーティンのケツ狙い。

4. マーティンはその見た目から駐車場の利用者に嘲笑われる毎日。

5. ついにマーティンは必要な時以外、一切喋らなくなる。(劇中一言も発さない)

 

・・・と、こんな感じなのでつい「可哀想に・・・」と感じてしまうのです。

特に監督は「主人公の弱さ」を際立たせたかったそうで、至る箇所でマーティンが喘息用の薬を吸う場面があります。ローレンスさんの演技もこれまた名演技。本当にマーティンがこの世に存在しているかのようなリアルさ。

ちなみにご本人は親日家で、ご病気を患っていることはありません。可愛らしい方です。

オーディオコメンタリーで、マーティンを演じることは非常に難しかったと語っていました。彼はムカデ人間2が初の映画出演とのこと。

嘘やろ?演技上手すぎ。

彼を採用した監督は分かってますね。キャスティングがほんっと上手い!!

ムカデに出る前は子供番組でコミカルな役を演じていたそうな。見てみたい!w

 

もちろん!カラー版もしっかり見ました。

監督によると「流石の僕も残酷すぎてきつかったから、少しカラーのトーンを落としたよ」とのこと。面白い。

私はモノクロ(オリジナル)がいいと思いますね。

カラー版だと、2は終始血が流れてるので、ただのゴアゴアでありがちなホラー映画に見えがちなのがいまいちでした。

あと、下剤投入後の強制リレーの場面。

モノクロだとブツにだけ色が付いているという監督のおふざけが面白いのに、カラー版だとそのユーモアが消えちゃうのはもったいないなと。

監督も言ってましたが、モノクロの方がより汚く見える。色無しの方が圧倒的に不気味でとてもいい。白と黒しかないので作品に集中できます。

 

2は印象深い場面が多くて、全て好きです。

1番好きなのは、マーティン特製の「ムカデ人間」スクラップブックをママが破り捨てるとこですね。マーティンが悲しそうにハイター博士の切り抜きを抱きしめるとこが良い。

その後彼の感情が一気に溢れ出して、母をバールで殴り殺すところが本当に悲しいです。

ローレンスさんは語る。「(マーティンは)他に趣味などなく、ムカデ人間が唯一の生きがいだった。僕はママがスクラップを破る場面に迫真を持たせたくて、自分であれを作ったんだよ。数日かかったかな。それを目の前で破り捨てられたら僕でも殺したくなるね」と。

監督は「最高にクールな出来だ。マーティンに心から同情するよ」と言っていた。

全く同感でございますね。

 

あとは、ムカデ人間完成後途中で死んだと思われた妊婦が目覚め、破水の痛みに耐えながら車へ逃亡する場面。マーティンが怒りの表情で車にしがみついて、車をひっかいて引き止めます。アクセルの下に産まれた赤ちゃんは歓迎されることなく、その後すぐに母の足によって踏み潰されてしまいます。

産まれたことを歓迎されない、という部分がどこかマーティンの境遇に似ていると感じます。そういう皮肉も狙ったんですかね?

 

全体的に前作と全てが正反対なのが良い。

まず主役。監督の狙いで、ハイター博士は細身で背が高かったから、今回は小太りで背が低い人材を探していたそうな。ローレンスに謝ってましたw

ハイター博士は医療技術がありましたが、マーティンにそんなものはゼロ。小学生の図工感覚。映画で得た情報のみで繋げていきます。

その雑さがより恐怖を促進させていたので、ホラー映画の設定としては大成功ですね。

また、ハイター博士はムカデ人間に対して性的な狙いは無かったが、マーティンはむしろムカデ人間が彼の性欲を駆り立てる対象で、劇中でもムカデ人間を見ながら自慰行為をしたり、最後尾の女性にレイプをしたりする。

話が全く繋がっていなくても、前作を見てるからこそ楽しめる部分が多いのは本当に面白い。後述の3も同じく。

 

そして、ローレンスさんが最も苦労した「マーティンのキャラ」。彼は劇中で一言も喋りませんが、笑みを浮かべたり、泣いたり、怒ったり、人並みの感情はあります。それを顔と声と動きだけで彼は完璧にこなされてました。これを機にたくさんの映画に出て欲しい。色んなローレンスさんが見てみたいです。

2は俳優陣が超絶優秀だからこそストーリーの重みを感じ取れる。大根だとただのグロ映画に成り下がってしまったでしょうね。

というかあのスクラップブック、私も作ってみたいです。

 

ムカデ人間3 Final Sequence

全て吹っ切れた最終作。一番好きです。

またまた最初は2のラストシーンから。

映画自体のケツが繋がってるというユーモアが最高ですね。

もちろん、2も「映画」扱い。1もです。

スタッフロールに入ると、1でハイターを演じたディーターさんが再登場!葉巻を吸いながら死んだ目で2を眺めています。

テンガロンハット?を被って偉そーに偉そーな椅子に座っています。

それだけでなく、2でマーティンを演じたローレンスさんもディーターさんの右腕役で再登場。

舞台はアメリカの刑務所。ディーターさん演じる所長のビル・ボスは自分の思い通りに行かないと大声をあげて暴れ散らかし、秘書のデイジー(演:ブリー・オルソン)を性欲のはけ口に使用し、「タマ吸い器」扱い。囚人を去勢したり、腕を折ったり、毎日好き勝手し放題なサディスト。

物静かなハイター博士とは正反対。

 

また、ローレンスさん演じるドワイトは忠実なビルの部下で会計士。頭の回転が良く、常にビルの隣でご機嫌取りをしては、「医療費がかかるので囚人虐めはやめてください」と彼に注意する毎日。

まだ所長に比べれば常識人のように思えますが、彼はムカデ人間の大ファンで、所長に「囚人を繋げてムカデにすればお金かからないですよ」とアドバイスする隠れた狂人。

喋らないマーティンとは正反対。

 

監督「前作の俳優が前作とは全然違う役で再登場するの面白くない?」

だそうです。こういうスタイルめちゃくちゃ好き。監督と1度お話したい。

でも、全然違う訳では無い。所々に1のハイター博士の台詞を所長が言う場面があったり、ドワイトがムカデ人間ファンなのはマーティンと同じ設定だというファンサ。

面白いのが、所長はムカデ人間をめちゃくちゃに罵っているという。

所長「こりゃ本物のクソ映画だ。ゴミクズだな。ただのB級映画じゃねぇか」

そしてまたも監督の悪ふざけ。トム監督本人が本人役で出演するのです。

監督に対し所長は、

所長「アイツはまだオマルを使うガキだ!クソフェチのバカ監督が!!」

もう言いたい放題。このセリフを監督が進んで書いてるっつーのが既に面白い。

ディーターさんのぶっ飛び具合も最高潮で、

本気でイカれてる・・・と、思いきや。

所長は強がっていますが、実はとっても心が弱いのです。

囚人達に囲まれて腎臓にレイプされる場面では弱々しくドワイトの名前を呼んだり、許してくれぇと泣いたり。

その緩急を見事に演じきっていました。

流石、の一言に尽きます。

 

3では過去の俳優陣が勢揃いで囚人役なのも「最終章」を感じさせる点。

1でムカデの先頭を務めた北村さん。同じく1で刑事役だったピーターさんとアンドリューさん。アンドリューさんは2にも出演なさってるので、全作制覇の偉業を成し遂げています。

他にも2でイヤ〜な医師役だったビルさんも。

 

そして、州知事役のエリック・ロバーツさん。上から目線で所長とドワイトに解雇を知らせにやって来ます。

「このまま医療費がかかり続け、再犯率も多い状態が続くんじゃ、所長交代も考えられるな。ふっ(´<_` )

・・・ま、何とかしたまへよ」

そんな知事に最初は媚びへつらっていた所長ですが、彼が所長室から退室すると同時に、

所長「Fuuuuck!!!!!うるせぇんだよクソ野郎!!!」

大爆笑しました。本人には言えない。負け犬の遠吠えにしか聞こえない。大好きなシーンです。

 

まぁなんやかんやあって囚人総勢500人を繋げるのに成功しました。

監督は「美しい」の一言

知事は最初こそ「オーマイガー」って感じでしたが、ラスト付近で急に考えが変わって、

「ビル!君は天才だ!これこそ今のアメリカに必要だ!」と大絶賛。

遂にお前も狂ったか・・・

 

知事の絶賛に気を良くした所長は、最初に囚人をムカデにしようと提案したドワイトとハグ。めでたしめでたし。

 

んなわけねーやろ。

 

てことで、所長はドワイトの頭を1発撃ち抜き、手柄を独り占め。ついでに手術を行った医療チームの代表者も殺して話は終了。

最後まで吹っ切れてて最高に楽しめました。

 

・・・さて、ここで特典映像にあった「幻のエンディング」のお話をします。

所長がドワイトを殺し、所長が繋がった囚人ムカデを見て歓喜の雄叫びをあげるとこまでは同じなのですが・・・

次のシーンでベッドに横たわる1人の男性の目が開く。

その彼はなんとハイター博士。ムカデ人間制作前です。ムカデ人間3の夢を見ていたという解釈でいいんですよね????

ふぅ、と息をついてムカデ人間を閉じ込める用の檻を見つめ・・・

 

なんと、1の最初の場面に切り替わります。

 

道路の路肩にハイターは停車し、3匹のロットワイラー犬が繋がった写真を見て泣いています。そして、後ろからトラックがやって来て・・・

 

文字通り、全てが繋がっているんですね。

「1」のハイターに憧れたマーティンがムカデ人間を創り、「2」を見た所長とドワイトがムカデ人間を創り、「3」の夢を見たハイターはムカデ人間制作を決意し・・・

これぞ永久機関。まさにムカデ。

作品が循環しているのです。

 

ああ〜最高〜!!!!!!!

 

語彙力が抹消されるほど素晴らしいストーリーの構成です。

歴史に名を残す一作です。本当に傑作。

まだまだ好きな場面はあります。でも一旦これで終わります。

ぜひ見てほしい。そして思う存分ムカデ人間の世界に取り込まれて欲しいです。

それでは𓃲